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病状の観察

病状の観察

病院のように24時間、看護師や医師に対応してもらえるわけではない訪問看護においては、看護師等の訪問時に患者様の症状をしっかりと観察することが重要となります。限られた訪問介護の時間に患者様の病状を観察するだけではなく、日ごろ看護に携わっているご家族や病気等を患っている本人へのヒアリングを通じて、病状がどのような状況にあり、どのような対応方法が必要となるかを時には主治医も交えて検討していきます。

訪問看護の現場において、病状・健康状態を観察するうえでは、4つのバイタルサインを基礎的なポイントにして判断し、栄養状態やしぐさ、本人の様子なども細かに観察していきます。

■バイタルサイン
①血圧
血圧は心臓のポンプの力と血管の機能を知るために測定します。心臓が収縮した時(収縮期血圧)のことを最高血圧といいます。心臓が拡張した時(拡張期血)のことを最低血圧といいます。最高と最低の圧の差を脈圧といいます。血圧を測定することで高血圧患者発見にも役立ちます。

②脈拍(数、リズム、脈圧、脈拍の左右差)
脈拍は、心臓や循環器系の以上の早期発見に役立ちます。心臓に不整脈(リズムが規則的でない、触れにくい、脈が多すぎる、少なすぎる)などの異常があれば、血圧や、めまい、眩み、動機などの症状も一緒に観察する必要があります。

③呼吸速度
呼吸速度を測定するとともに、せき・たん、チアノーゼの有無、息苦しさなどについても観察します。

④体温
体温中枢は脳の視床下部というところにあります。体温は体内の熱の産生と放散のバランスによりおよそ37,0℃に保たれています。細菌感染や悪性新生物、自己免疫疾患などにより体温が高くなります。
体の変化や異常を知るために、得られた情報を総合的に判断する必要があります。

⑤その他
上記以外にも栄養状態、排泄状態、睡眠、姿勢や動作、表情、しぐさ、話し方と話の内容、体形、皮膚の色、爪、毛髪、年齢に応じた性の発達、衣服や身だしなみ、心身の健康状態などすべての状態を観察します。これらの得た情報から対象の看護上の問題点や優先度を把握し看護ケアの方向性を明確にします。

バイタル測定から「異常」と判断すれば、その場で主治医に報告して指示を受けます。指示により看護師は、採血や点滴など医療的行為を行う場合もあります。主治医がすぐに訪問診療する場合もありますが、緊急の場合は救急車で入院することもあります。看護師の観察が対象者の今後の生活に影響を与えるため一人で訪問する看護師は大きな責任が問われることになります。